2021年4月28日、念願の大型自動二輪免許を取得した。
自動車学校に入校したのは2021年1月9日。この免許取得までの約3ヶ月3週間は、久しぶりに味わう挫折と喜びのエキサイティングな日々だった。
この記事は、私自身が免許取得までに葛藤した記録であり、普通二輪や大型二輪の免許をこれから取りに行きたいと思っている人に向けて、少しでも情報をまとめて共有したいと思う。
自動二輪教習の進め方
まず、自動二輪教習の進め方にはいくつかの方法がある。ここで登場してくる免許の種類は、「普通自動二輪(400cc)」と「大型自動二輪(400cc以上)」の二種類とする。
※教習所によって進め方が異なる場合があるので、実際に通う予定の教習所に事前に確認してください。
私は四輪免許を持っているので、学科教習が免除された。四輪免許を持っていない人は、技能教習とは別に学科教習が必要となる。本記事で紹介しているスケジュールよりも時間がかかるだろう。
まず最初にオリエンテーションと運転適性検査を受ける必要がある。これを受けないと学科教習と技能教習は開始されない。
- オリエンテーション
- 運転適性検査
オリエンテーションでは、教習の進め方やルール、配車方法の説明など教員から説明がある。運転適性検査は適性診断とも呼ばれ、個々の性格や運転行動をチェックするものであり、安全運転に適しているかを診断する検査だ。適性検査の結果が悪くて落ちることはまずないと言われているので、リラックスして受けて欲しい。
これらが終わるとようやく教習スタートだ。
私は、1月10日にオリエンテーションと運転適性検査を受けて、初回の技能教習開始の予約が取れたのが1月31日だった。早く免許を取りたいと思い入校してもこのように予約が取りにくい教習所も多くあるので、焦らずじっくりと取り組む気持ちで進めると良いだろう。
卒業検定までに受けなければいけない教習の内容は以下の通りだ。
今回は四輪免許ありの場合のみ解説する。四輪免許がない場合は、普通二輪の一段階で学科教習9時限、二段階で学科教習16時限、技能教習がプラス2時限となる。
普通二輪 / 四輪免許あり(最短17時限)
第一段階(9時限)/ 技能教習
- 1-a / バイクの動かし方、クラッチの操作など基本
- 1-b / 走行練習
- 1-C / S字・スラローム練習
- 1-RS / シュミレータによる危険予測
- 1-D / 一本橋・坂道発進・坂道走行+カーブ
- 1-D / 一本橋・坂道発進・坂道走行+カーブ
- 1-D / 一本橋・坂道発進・坂道走行+カーブ
- 1-DA / ATバイクでの走行練習
- 1-D ※ 見極め
第二段階(8時限)/ 技能教習
- 2-RS / シュミレータによる危険予測
- 2-a / 1コースの走行練習
- 2-B / 模擬体験(カーブ・追突・追い越し)
- S-RS / シュミレータによる危険予測
- 2-C / 特別課題(スラローム・急制動・一本橋)
- 2-D / 2コースの走行練習 + 特別課題
- 2-D / 2コースの走行練習 + 特別課題
- 2-D ※ 見極め
卒業検定 > 合格 > 免許取得
大型二輪 (最短12時限)
第一段階(5時限)/ 技能教習
- 1-a / バイクの動かし方、クラッチの操作など基本
- 1-D / 走行・S字・スラローム練習
- 1-D / 一本橋・坂道発進・坂道走行+カーブ
- 1-DA / ATバイクでの走行練習
- 1-D ※ 見極め
第二段階(7時限)/ 技能教習
- 2-b / 1コースの走行練習
- 2-B / 模擬体験(カーブ・追突・追い越し)
- S-RS / シュミレータによる危険予測
- 2-C 特別課題(スラローム・急制動・波状路・一本橋)
- 2-D / 2コースの走行練習 + 特別課題
- 2-D / 2コースの走行練習 + 特別課題
- 2-D ※ 見極め
卒業検定 > 合格 > 免許取得
これらが最低で取らなければいけない時限数だ。それぞれの時限で上手く運転技術を習得できない場合やミスが多い場合は、補習となり再度同じ時限を取らなくてはいけない。
その場合、予約していた先の時限はキャンセルし再度予約を取り直す必要が出てくるので、一回一回の教習でミスなく必ず次に進めるようにしていきたいところだ。
私の場合、普通二輪の1-D 「坂道を下った後にゆっくりと曲がる」所で何度もパイロンにぶつかり、補習となった。今でもこの時の嫌な思い出が強く、思いっきりハンドルを切って曲がりる道が苦手だ。クランクが大嫌いだ。
普通二輪と大型二輪、連続教習コースの方が良いのか?
さて、これらの最短時限を効率よくスムーズに取るためには、連続教習をした方がいいのですか?と聞かれることがよくあるが、「効率よくスムーズに取るため」で言うと、そうとは限らない。
なぜなら、教習所の予約の空き状態が大きく左右されるからだ。
連続教習コースでも個別の教習でも受けなければいけない時限数は変わらないのだが、大型二輪の教習を開始する前に受けるオリエンテーションと適性検査を受ける必要がないので、2時限分は省略できそうだ。
大型二輪の教習を開始する前には、必ず二輪免許の交付を受けておく必要があるので、先に普通二輪で慣らしてから大型二輪を受けるでも良いだろう。連続教習コースでも教習期限は余裕を持って設定されているので、大型二輪をスタートするタイミングは上手く調整できそうだ。
もう一つの利点は、連続教習にすると教習料が安くなる点だ。
以下は私が通っていた自動車学校の料金体系なので、実際に通う自動車学校を確認して欲しい。あくまでも参考情報として記載する。
自動二輪車 取得までにかかる費用
予約2時限コース
最大2時限分の予約を保有できる。ゆっくり免許を取りたい人に向けたコース。
- 大型二輪(普通二輪免許所持)103,400円(税込)
- 普通二輪(四輪免許なし) 148,500円(税込)
- 普通二輪(四輪免許所持) 99,000円(税込)
普通二輪+大型二輪 連続教習コース
普通二輪と大型二輪をセットでの申し込み。
- 四輪免許なし 240,900円(税込)
- 四輪免許所持 191,400円(税込)
私は四輪免許所持なので、別々に受けた時の費用が 202,400円(税込)で、連続教習コースの場合は、191,400円(税込)だ。連続教習コースであれば11,000円お得になる。
また、予約を取りやすくするために、技能コースを最大6時限まで取れるオプションにも加入した。このオプションは5,500円(税込)だが、普通二輪と大型二輪でそれぞれオプションをつけなければいけないので、追加で11,000円(税込)必要だった。
オプション
二輪車 追加技能教習料金
補習となった時に追加で払う必要がある1時限分の料金
- 大型二輪 1時限 4,400円(税込)
- 普通二輪 1時限 3,300円(税込)
技能予約オプションコース
- 6時限コース 5,500円(税込)
技能安心オプション
技能教習/検定の追加料金がかからない安心プラン
- 3時限安心コース 8,800円(税込)
- 無制限定額安心コース 29才まで 11,000円(税込)
- 無制限定額安心コース 30〜39才 33,000円(税込)
- 無制限定額安心コース 40〜49才 44,000円(税込)
- 無制限定額安心コース 50〜59才 77,000円(税込)
その他に補習が出ても追加料金がかからない安心プランというものがあったが、年齢ごとに料金が上がっていく仕組みだ。60才以上は免許を取りに来ないと思っているのだろうか。
50代の人でいうと、普通二輪の補習を23回分以上受けることができる安心プランのようだが、本当にそんなにも補習を受けることがあるのだろうか。
色々と疑問が浮上していたし、補習を受ける保険よりも、絶対受けない前提でスムーズに進みたかったので、私はこの安心プランには加入しなかった。
最終的にかかった費用
以上がそれぞれのプランだが、私自身が免許取得までにかかった費用は以下の通りになる。
卒業検定は最後の見極めから検定日まで日数が空いてしまい、不安だったので自主練習用に1時限購入して練習した。
- 普通二輪+大型二輪 連続教習コース 四輪免許所持 191,400円(税込)
- 普通二輪 1D 補習 3,300円(税込)
- 普通二輪 卒検前自習 3,300円(税込)
- 普通二輪 6時限コース 5,500円(税込)
- 大型二輪 6時限コース 5,500円(税込)
二輪教習: 209,000円(税込)
- 普通二輪免許 更新費用 3,300円(税込)
- 大型二輪免許 更新費用 3,300円(税込)
免許証更新費用: 6,600円(税込)
金額の違いといっても1万円程度なので、通えるスケジュールとモチベーションで決めれば良さそうだ。普通二輪を取った後、大型二輪でまた1段階からスタートする...という点では実際モチベーションが下がっていた。少し間を空けたほうが新鮮な気持ちで通える気もする。
2段階に関しては、普通二輪と大型二輪のコースは違うのだが、コースの特性は一緒なのでその点では走行慣れしていたのでやりやすかった。
免許取得までのスケジュール
最低限受けなければいけない時限数を紹介したが、実際に私自身がどのようなスケジュール感で免許取得をしたのか簡単に紹介する。
技能予約オプションコースの6時限コースのオプションを加入していても1週間に1時限しか取れない日々が続いた。このオプションに加入しなければ、免許取得までに6ヶ月以上はかかっていたと思うとゾッとする。時は金なり。5,500円をケチるべからず。
1月10日 オリエンテーションと運転適性検査
1月31日 普通二輪 技能教習開始 1-a
2月22日 普通二輪 1段階/9時限 終了
3月12日 普通二輪 2段階/8時限 終了
3月17日 普通二輪卒業検定合格 免許取得
4月2日 大型二輪 技能教習開始 1-a
4月7日 大型二輪 1段階/5時限 終了
4月24日 大型二輪 2段階/7時限 終了
4月28日 大型二輪卒業検定合格 免許取得
まず、1月~3月は教習所自体が大混雑だった。コロナの影響もあり免許を取りに来ている人も増えている+学生の教習生が増える時期だった。
仕事をしながら教習所に通う場合、仕事が終わった夕方〜夜の枠もしくは休日を狙って予約を取りに行くしかない。そのため余計にも予約を入れることが難しい状況だった。
時間を自由に使える人は、キャンセル待ち狙って効率的に予約を取るという方法もある。キャンセル待ちは基本、教習所に行って受付をし、当日キャンセルをその場で待つ仕組みだ。自由に動ける人は教習所でひたすら待ち続けるのも手だ。
また、雨の日はキャンセルする人が多くなるので、雨の日のキャンセル狙いも良いだろう。しかし雨の日は運転に悪条件なことが多く、カッパを必ず着用しなければいけないので、運転には注意が必要だ。私は、一度でも補習を受けるものかと心に誓っていたので、天気予報を見ては雨の日を避けるように予約を取っていた。
技能教習について
自動二輪教習の進め方で、1段階、2段階の内容を簡単に記載したが、少し具体的に教習の内容を紹介する。普通二輪、大型二輪共に教習の内容自体は同じだ。大型二輪は2段階で特別課題の波状路が追加される。また、特別課題クリアの条件が普通二輪とは少し異なる。
基本操作が大事
1段階では主に、バイクの機能や特性を踏まえて、基本的な操作が出来るよう練習をする。特に半クラッチとアクセルの使い方や低速走行の方法をしっかりと身に付けることができれば問題ないだろう。
普通二輪と大型二輪ではバイクが違い、操作性も大きく変わってくる。
バイクの特性をしっかりと理解し、それにあった操作が求められるので、教習が始まって最初に行う走行練習でアクセルの遊びやクラッチの加減を掴んでおく必要がある。
バランスを取るにはニーグリップが大事
バランスを取るために膝を中心とした内もも全体で燃料タンクをしっかり挟もう。下半身の安定に繋がる。特に一本橋でバランスを取ろうとすると、股をパカパカを開いてしまう人が多い。または開けずしっかり挟んで、下半身の重心を移動してバイクを進みたい方向に向けよう。
腕を伸ばしきらない/力を入れすぎない
ついつい緊張すると、背筋をピンと伸ばし、腕も一緒にピンと伸ばしてしまう。腕を伸ばしきると、ハンドルが切れなかったり、クラッチやアクセル操作に支障が出る。
前傾姿勢でタンクをしっかりと膝で挟めば、腕はハンドルを支える程度で問題ない。
安全確認・ライン取りをしっかりと
2段階に進んでいくと、ウインカー、目視、方向転換と交通ルールに従った走行が求められる。目視は死角の位置に車や自転車、人がいないかを確認するためにとても大事だ。
教官に見せつけるように大げさにアクションしよう。そして、右に寄せる、中心を走るなど走行位置を見られているので、どこを走らなければいけないのか事前に頭に入れて走行しよう。教習所内はとにかく演技が大事だ。
クランク・S字
パイロンにを倒してしまうと一発不合格となってしまうクランクとS字。ライン取りが重要となる。大型二輪になると、普通二輪よりもバイクの全長が長くなるので、早めの切り返しでパイロンに当たらないように注意して走行しよう。
クランクは直角の曲がり角の連続だ。クランクのコツはバイクを傾けないで曲がること。ハンドルで曲がるようにしよう。
なるべくバイクの前輪はコーナーの外側をなぞるように走る。内輪差で後輪が内側のパイロンに接触しないようにするためだ。
20点も減点されると他でミスができなくなってしまうので、特に気をつけて走行してほしい。
S字に関しては、断続クラッチを上手く使って通過すれば、問題ないだろう。後は目線。思っているより道幅があるのでどちらかに偏ったコースをとらなければ無事通過できる。
特別課題攻略
スラローム
"立体障害物の間を順にS字状に、かつ、大型二輪車にあっては7秒以下、普通二輪 車にあっては8秒以下の所要時間で走行すること"
2速で走行するスラローム。障害物の間隔は4.5mだ。アクセルを大きく回すとコースから外れてしまったりするので、アクセルは使わなくてもいい。
大型二輪は1秒短くなるが、1秒オーバーは5点減点なので、早く走行するよりもパイロンに当たらない事に注意して走行しよう。
急制動
"指定速度(大型二輪車及び普通二輪車は40km/h、小型二輪車は30km/hの速度とする)を保ち、指定位置(急制動開始線をいう)で急制動を行い、車輪をロックさせずに急停止区間内で安定した停止をすること"
早めに速度を40kmまで出してアクセルを戻し、指定位置からジワリとブレーキをかけていくのがポイント。急ブレーキをしなくても余裕を持って止まれる距離だ。
波状路(大型二輪のみ)
"不等間隔に並んだ突起物の上を5秒以上かけて立乗姿勢で乗り越えるように通過すること"
バイクが安定してから立ち姿勢になる。スキーのジャンパーのような前傾姿勢がにすることが大事。通過する前にアクセル回し、戻してクラッチを離して乗り越える、降りたらアクセルを回し、クラッチを離して乗り越えるを繰り返し行う。
前輪ブレーキは使わずに後輪ブレーキだけを使うようにしよう。
一本橋
"直線狭路台手前の指定地点でいったん停止し、直線狭路台を着座姿勢により、大型自動二輪車にあっては10秒以上、普通自動二輪車にあっては7秒以上の所要時間で走行すること"
アクセルを回しながらクラッチで速度と調整するのがコツ。ハンドルは小刻みに左右に振る。目線は遠くを見る事。落ちたら失格になるので、少しでも危ないと思ったら、速度を出して通過しよう。ここも1秒オーバーで5点減点なので、時間いっぱい粘るなどの危険を冒さず安定して走行しよう。
さいごに
卒業検定は、本当に緊張する。想像以上だ。
普段通りに行えば問題ないはずなのに、緊張のあまり普段通りに行えないこともある。
とにかく落ち着いて、イメージトレーニングをしっかりして挑もう。
卒業検定は減点方式だ。一発不合格、卒業検定中止とならないように気をつければ問題ない。
人生を豊かにするライダーライフ
通っているうちは長く感じていたが、終わればあっという間だったこの3ヶ月3週間。
アクセルやクラッチ操作に慣れず、教官には叱られ、気が凹むことも多かった。少しでもアクセルを回しすぎると壁に激突して死ぬのでは?!といった危険予測をし過ぎて怖くてたまらなかった。コツコツ通えば必ず運転できるようになるはず...と自分自身を励ます日々だった。
大型二輪の教習をスタートした時には、普通二輪の不安感から一変、2ヶ月かけてコツコツと身に付けた技術をようやく自然と発揮できるようになっていたのだろうか。風を感じていた。バイクと友達になっていた。
お金や時間、一番に体力(精神力)を費やした日々だったが、今挑戦しなければタイミングを失い、いつかの夢はいつかのまま終わっていただろう。念願のハーレーも購入し、夢に向かって走り出している。バイクを乗ることで何かが大きく変わるわけではないが、長く短い人生に楽しみと喜びをもたらしてくれると私は思う。
この記事でこれから免許を取ろうと思っている人が参考にしてくれたり、バイクに興味があるけど、難しいと思っている人の背中を少しでも押すことができると嬉しい。
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