めし目的人間撲滅委員会の活動報告

 ご飯目的でイベントに参加するの絶対ダメ!



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いつから私は「めし目的人間 ※1 」を目の敵にし始めたのだろうか。

いつから私の世界に「めし目的人間」という不快な影が忍び寄っていたのだろうか。

この感情の原点を探るべく、私は思いを馳せる。

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 ※1 このブログの中で出てくる「めし目的人間」とは、寿司のネタだけを食べたり、ピザの端っこだけ残したり、無料でご飯を提供するイベントを渡り歩いている人のことである。明らかにご飯を食べることだけを目的として参加し、迷惑行動をしている人のことを指している。


かつて、私の周囲には温かく、技術と情熱を分かち合う素晴らしい人々がいた。だが、その理想は幻想に過ぎなかった。目を覚ますべきだと自分に言い聞かせたのは、初めて「めし目的人間」という存在と直面した時。そして、遠くの人々からの石の投げつけ、身近な者たちの隠された本音が明らかになったあの炎上。

それは、良くも悪くも、大人へと成長したあの日の出来事から始まったのだ。

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オフラインイベントが復活した頃、街中には「めし目的人間 」の噂が広がり始めた。私自身、コロナ禍前に「めしおじ」と呼ばれる人々を何度も目にしてきた。自分が主催するイベントにも彼らは参加していた。

当初はただの迷惑者としか思わなかったが、最近の彼らは組織的に動き、食事だけを楽しんで帰るような無礼な振る舞いをする。彼らの行動は、運営者の苦労を踏みにじり、私の怒りを沸騰させた。

そして、暑い夏の祭りで、ついに「めし目的人間」と直接対峙することになった。その出来事が私を変え「めし目的人間撲滅委員会」を立ち上げるきっかけとなった(現在メンバー募集中)。

その後、別のイベントでも彼らと対峙し、私の決意は固まった。「絶対に許さない!!」という思い。

そしてLTでその思いを表明し、さらに私は自らを「めし人間撲滅しょうこ」と名乗るようになった。

頭に寿司を乗せるという、なんとも切ないストーリーの始まりだ。

これはすべて「めし目的人間」のせいだ(違)。




会社の部のチーム紹介LTを担当した私は、チームメンバーのみんなを覚えてもらうために、過去の出来事からあだ名を勝手につけるというパフォーマンスを行った。結果は大爆笑とドン引き。まあ心が強いのでドン引きされてもそんなの全然気にしない。

暑い夏、めし目的人間と対峙する


その夏、暑さが肌を焦がす中、私は「ISUCON夏祭り」というイベントの実行委員長として立ち会っていた。セッションに耳を貸さず、ただひたすらに会場のお菓子を頬張り、スタンプを集める人々。彼らの行動に、怪しさを感じずにはいられなかった。そう、彼らは明らかに「めし目的人間」だ。セッションに参加しない、あるいは参加しているふりをする―その姿を見るたび、私の中の怒りが湧き上がってきた。

「私たちはあなた方のために身を削ってこのイベントを運営しているのではない。エンジニアがセッションを楽しみ、技術交流を深めるために運営しているんだ」

そんな叫びが私の心の中で鳴り響く。

しかし、誰かをただ怪しいと決めつけるのは正しくない。見た目だけで人を判断することは、私自身も避けるべきだと常に心掛けている。たとえば、初めて参加するイベントで知り合いがいなければ、誰かに話しかけることもできずに食べ物に手を伸ばすことしかできないかもしれない。そう、自分の偏見に気付き、怪しげな人々との対話を試みるようになった。

夏祭りで怪しげに振る舞っていた人に近づき、穏やかに質問を投げかけた。「今日はどのセッションに興味がありますか?」「エンジニアですか?」彼らの反応は挙動不審で、明らかに言い訳がましいものだった。私の中の確信は強まる。「このイベントは技術交流を目的としています。もしセッションに参加しないのであれば、ご退場願います」と、私は断固として伝えた。

私の顔は、おそらく怒りに満ちていた。目の奥には激しい炎が燃えていたに違いない。その言葉を受けて、「めし目的人間」はセッションエリアへと移動し、一生懸命に写真を撮り始めた。


このことをきっかけに、私は「めし目的」の参加者を見つけると、積極的に声をかけるようになった。私の誤解である可能性もあるし、彼らが技術に興味を持つきっかけになるかもしれないと考えたからだ。

あれから数ヶ月後


数ヶ月後の別のイベントで、夏祭りで出会った「めし目的人間」と再び出会った。彼はセッション中に私の隣に座った。私の心は叫んだ。「あいつだ!」私の心の中の声は、だんだんと荒々しくなっていたが、これは「めし目的人間」への怒りが高まっていたためだ。

そして、横に座った彼がスマホでPeatixやconnassの画面を見ながら次のターゲットを探しているのを目撃した。私は思わず内心で叫んだ。「くそう、そうやって無料イベントを物色して、ただ食べ物を求めているのか。これは許せない。人々の心理的安全を脅かす者は許せない」。

もはや私が世の中のカンファレンス全てをめし目的人間から救わなければいけない。そんな使命感すら覚え始めている。そう、巷で話題になっている私人逮捕系YouTuberと一緒だ。

「めし目的人間組合」のブラックリストに自分を載せる決意を固めた。次はない。そうして私は立ち上がり、交流会が始まると彼らの元へと向かった。「こんにちは、夏祭りでお会いしたことを覚えていますか?今日はどの技術に興味を持っていますか?」彼の反応は軽いものだったが、知り合いを紹介するよう求めると、彼は言葉を濁した。

「技術交流以外の目的であれば、ここを去ってください」と、私は毅然として伝えた。この対峙は、もはや「めし目的人間」を撲滅する使命感に駆り立てられていた。

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私たちの会には、参加者全員が守るべき行動規範やハラスメントポリシーがあります。私の心には怒りが渦巻いているものの、目の奥の炎を燃やし続けながらも、私は言葉を丁寧に選んで伝えます。少しでも高圧的な態度を取れば、逆に私がポリシー違反となってしまうからです。このバランスを取ることは、とても難しいのです。

どのようにして「めし目的人間」に対処すべきか、私は何度も思いを巡らせてきました。そして、この問題に対する完璧な解決策はないことを痛感しています。相手に対して厳しく接することは、時に必要かもしれませんが、その一方で、優しさや理解を持って接することの重要性も忘れてはなりません。

この問題に関しては、先月発売した「技術カンファレンスマスターガイド」でも少し触れていますが、完全な答えはまだ見つかっていません。ただ、一つ確かなことは、私たちが運営するイベントは、技術と情熱を共有する場であり続けるべきだということです。そのために、私たちは常に柔軟な姿勢を保ちつつ、公平かつ公正な運営を目指していかなければならないのです。


GDG DevFest Tokyo 2023 での対応


私は「めし目的人間撲滅委員会」の代表として、関わるすべてのカンファレンスで技術交流以外の目的で参加する者たちを一掃するという使命を背負っている。ただ食事を求める者だけでなく、行動規範やアンチハラスメントポリシーを無視する者も、例外ではない。運営するイベントは、エンジニアの情熱と技術の祭典であるべきだ。食事目的の参加者が渦巻く場ではない。

参加者の心理的安全を守ることは、私たち運営者の重大な責任。スタッフミーティングでは、この思いを力強く伝え続けている。

「私たちは、参加者をめし目的人間から守る義務がある!」

そう叫びながら、徹底した監視体制と報告の連携を強化している。事件が発生した場合、スタッフ自身が表に立つことは避けるべきだ。彼らの安全も私の責任。スタッフが表に立つことでスタッフ自身を危険に晒してしまうことは、絶対あってはならない。

めし人間の対峙もハラスメントの対峙も、全て私が引き受ける。スタッフを守るのは長としての責任である(正式には一般社団法人 GDG Tokyoの代表理事である私の責任)

スタッフミーティングでこれらのことを伝えた上で、今回のGDG Tokyoのカンファレンスでは、懇親会にめし目的人間が参加しないように二つの取り組みを実施した。

  1. イベントページに「ご飯目的の参加はお断り」とはっきりと記載。
  2. 懇親会を有料制にし、チケット販売ページにも「ご飯目的の参加はお断り。行動規範を守らない人はキャンセルされる」と明記。
しかし、有料にするだけで安心してはいけない。食事目的の人がどこかで紛れ込むかもしれない。変わった振る舞いをする人を見かけたら、即座に私に報告するようスタッフに繰り返し伝えている。

この方法で、12月9日に開催されるDevFestを、めし目的人間から守り抜くことができるか。その答えはまだ未知数だ。それでも、私は期待を胸に抱いている。

さいごに


めし目的人間撲滅委員会の活動と面白おかしく話しているが、この問題は非常に慎重に扱わなければならない。一歩間違えば、危険な事態に陥る可能性もある。私はその覚悟の上で、いつも相手に話しかけている。
正義感が強すぎることの危険性を理解しつつ、参加者が安心して楽しめるイベントを目指していきたいと強く願う。お願いだから、技術カンファレンス、技術イベントを食い物にしないでくれ。純粋に楽しんでいるひと、楽しみたいひと、運営の心を踏み躙るのはやめてくれ。

もし、それでも食い物にする人がいれば、私は覚悟を持っていつでも立ち向かう。とはいえ、諸事情でボクシングジムを脱会した私は、護身のためにも成人男性に敵うほどの格闘術は持ち合わせておきたいものだと、近所のジムを探す夜であった。

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